サブリースとは?メリットや注意点・契約時の確認事項も紹介

公開日:2023.12.15

最終更新日:2024.01.08

監修者:室田雄飛

執筆者:染谷 重幸

不動産投資を行う際、定期的な手間がかかってしまうのが、物件の管理業務です。また、空室が発生した際、家賃収入がなくなってしまうリスクに不安を覚える方もいるでしょう。これらの問題の解決策となりえるのが、サブリース契約です。

当記事では、サブリースの仕組みや任せられる業務、メリットやデメリットを詳しく解説します。サブリース契約を結ぶときに確認したい事項も紹介するため、不動産経営の負担やトラブルを減らしたい方は、当記事でサブリースについて学び、契約をご検討ください。

関連記事:サブリース契約はなぜトラブルになりやすい?5つの理由やトラブル事例などについて解説

サブリースの仕組みとは?

サブリースとは、オーナー所有の物件を不動産会社が借り上げて、入居者に貸し出すシステムのことです。一般的な賃貸借契約では、オーナーが入居者と契約し物件を貸し出す二者間の契約を行います。サブリースはオーナーと不動産会社、入居者の三者間で下記の「マスターリース契約」と「サブリース契約」の2つの契約を結ぶことで成立します。

1.物件の所有者であるオーナーと不動産会社が一括賃貸借契約を結ぶ(マスターリース契約)
2.オーナーから物件を借り上げた不動産会社が転貸人となり、入居者と賃貸借契約を結ぶ(サブリース契約)

サブリースでは、入居者にとっての貸主は賃貸借契約を結んだ不動産会社です。そのため、家賃は物件所有者のオーナーではなく、不動産会社に対して支払われます。オーナーは不動産会社から一括して家賃支払いを受ける形となるので、入居者と直接やり取りをする必要はありません。

加えて、建物本体を含む賃貸経営に関する管理全般を、不動産会社が一括して請け負うのがサブリースの特徴です。物件管理の手間が減るため、オーナーにとってメリットのある方法と言えます。

サブリースの契約内容によっては、空室時に家賃保証をしてもらえるケースもあります。家賃保証とは、空室状況に関係なく契約で定めた額が毎月オーナーに支払われる制度です。一定の手数料が差し引かれますが、家賃収入が途絶えるリスクへの対策として活用可能で、安定した収入が期待できます。

賃貸物件に必要な管理業務は?

賃貸物件を所有した際には、「建物管理」と「入居者管理」の大きく2つの管理業務が必要です。不動産投資を検討している人は、それぞれどのような管理をするか業務内容を把握しましょう。

建物管理では主に下記の業務を行います。

・定期清掃
・建物と各設備のメンテナンス
・修繕計画

一棟アパートなど共用部も不動産オーナーの管理範囲の場合は、きれいに保つために定期的な清掃は欠かせません。物件の外観や各設備の状態を確認し、メンテナンスをするのも大切です。

清掃・メンテナンスを怠ると、建物本体や設備の劣化が進み修繕費用が大きくなるほか、資産価値の維持が困難になります。劣化が原因で建物の見栄えが悪くなると、空室リスクを高める可能性もあるため注意が必要です修繕計画を立て、定期的に物件の劣化状況の改善を図るのは建物管理の重要な業務です。

続いて、入居者管理は主に下記の業務を行います。

・入居者募集
・内見対応
・新規契約・更新の手続き
・家賃回収・督促
・クレーム対応

入居者管理では、入居希望者や入居者への対応がメインとなっており、いずれも安定した家賃収入を得るのに重要な業務です。特にクレーム対応は入居者の満足度に直結する部分なので、入居者が退去を選択しないよう適切な対応が求められます。家賃滞納が起きた際には、入居者や連帯保証人へ速やかに連絡するのも入居者管理業務の1つです。

サブリース以外の賃貸管理方法

賃貸管理方法は、サブリース以外に自主管理と管理委託という選択肢もあります。それぞれの違いを把握し管理方法を選ぶ参考にしてください。

自主管理と管理委託のそれぞれの詳細は以下の通りです。

自主管理

自主管理は所有物件の管理業務を、オーナー自らが行う方法です。管理のすべてを自分で行うため、管理費用が発生しません。

自己管理を選ぶと入居者管理から建物管理まで、細かな点をリアルタイムで把握できるメリットがあります。入居者から退去の連絡があれば、すぐに次の入居者を募集する準備ができ、建物の劣化があれば必要に応じて早急な修繕対応が可能です。賃貸管理に関するノウハウを、実際に経験しながら身に付けられます。

ただし、賃貸物件を適切に管理するには、幅広い業務をこなす必要があることを理解しておきましょう。あらゆる業務を自分ひとりで対応するのは、大きな負担がかかります。特に会社勤めをしながら不動産投資する場合は、本業と物件の管理業務で時間に追われる可能性があるため、自己管理を選ぶ際は十分な検討が必要です。

管理委託

管理委託は、所有物件の管理業務を管理会社に任せる方法です。入居者管理から建物管理まで任せられるため、オーナーは本業に専念できます。空室が出た際、管理会社に入居者募集の相談をすることも可能です。

一方、管理費用が発生する点と、基本的には家賃保証がない点には注意してください。サブリースは契約内容により家賃保証が受けられますが、管理委託には家賃保証がありません。空室があれば、その期間分の家賃収入が得られないと覚えましょう。次の入居者が決まるまで家賃収入が減少するだけではなく、空室対策にかかる費用がかさむ可能性も考えられます。

サブリース契約を結ぶメリット

サブリース契約を結ぶと、不動産投資においてのリスクと手間を軽減できるなど、さまざまなメリットが得られます。自己管理や管理委託にはない、サブリース契約ならではのメリットがあるのもポイントです。

ここでは、サブリース契約で得られる3つのメリットを紹介します。

空室リスク・家賃滞納リスクを回避できる

サブリースでは多くの不動産会社が、空室保証や家賃保証を契約に組み込んでいます。空室保証・家賃保証とは、空室時や家賃滞納時に、オーナーの家賃収入が途絶えたり減少したりするリスクを軽減できる保証です。物件をまるごと借り上げた不動産会社が、オーナーに毎月一定の家賃支払いをする形で保証されます。

オーナーに支払われる家賃は、一般的に満室時の80〜90%が相場です。仮に物件の稼働率が70%ほどに落ちたとしても、満室時の80〜90%の家賃収入が得られると覚えましょう。各戸から得た家賃収入とオーナーに支払われる金額との差額は、手数料として不動産会社の利益になります。

管理をすべて任せられる

サブリース契約をすると下記に挙げるような物件の管理業務を、すべて不動産会社に任せられます。

・建物の管理
・入居者募集・新規契約・更新
・家賃回収・督促
・退去時の立ち会い
・入居者からの問い合わせ対応

サブリース契約では入居者にとっての貸主は不動産会社です。借主と貸主間で何らかのやり取りが発生する場面でも、オーナー自らが入居者対応する必要はありません。たとえば、設備に関する不具合や入居者間のトラブルによるクレームも、不動産会社に任せられます。

会社勤めなどで不動産投資以外に本業があるオーナーにとっては、サブリースは日々発生する管理業務を不動産の専門家に任せられる、便利なシステムです。

原状回復費用を抑えられる

原状回復費用とは、入居者が退去した後に部屋を修繕・クリーニングし、入居前のきれいな状態に戻すのにかかる費用のことです。入居中の故意・過失によって発生した部屋の傷みや汚れの原状回復費用は、入居者が負担します。しかし、故意・過失以外の経年劣化や通常損耗によるものは、貸主の負担となるのを覚えておきましょう。

経年劣化・通常損耗の修繕にかかる原状回復費用は、サブリースの契約内容によっては不動産会社が負担してくれます。所有物件に関する原状回復費用が抑えられ、オーナーの負担が軽減できる嬉しいポイントです。

なお、不動産会社が原状回復費用を負担してくれる場合、毎月の家賃収入から差し引かれる手数料が資金源となります。

サブリース契約を結ぶデメリット

サブリース契約はオーナーにとって魅力的なメリットがありますが、デメリットも存在します。メリットだけで判断して契約を結び、トラブルに巻き込まれる事態にならないよう、サブリースを検討する際はデメリットも把握するのが大切です。

収益性が下がる

サブリースは契約内容によっては、空室や家賃滞納時に家賃保証を受けられるのが特徴です。ただし、保証を受けられる分、本来の家賃から手数料が差し引かれ、収益性が下がる点はデメリットと言えます。

家賃保証料は一般的には満室時の80〜90%となっており、手数料は10〜20%が相場です。満室の場合でも、家賃全額が得られないことを理解しておきましょう。サブリース契約した不動産会社に空室・家賃滞納リスクを引き受けてもらう代わりに、手数料を支払うと考えてください。

なお、原状回復費用として扱われることもある敷金は、不動産会社が預かる形になります。基本的には礼金や更新料も不動産会社側の収入となる点に注意しましょう。

賃料が見直される場合がある

賃貸物件の家賃は、築年数の経過に伴い下落します。新築・築浅時と同じ家賃のままでは入居者が得にくくなるため、ある程度の下落は仕方ないと考えましょう。

ただし、早い段階で賃料が見直され値下げされるケースもあります想定していた家賃収入が得られず、不動産投資の資金繰りが困難にならないよう注意してください。

サブリース契約は建物の賃貸借に当たるため、不動産会社から賃料減額を求める行為が認められています。あらかじめ築年数の経過に伴って、賃料減額請求を受ける可能性があると把握しましょう。

賃料を一定期間改定しないような定額制度があるか、契約時に確認すると安心です。併せてどの程度のペースで賃料改定が行われるのかも確認すると、資金計画を立てるのに役立ちます。

契約解除に制限がつく場合がある

サブリース契約では、オーナーが貸主、不動産会社が借主として借地借家法が適用されます。借地借家法とは、基本的に借主を保護する目的で作られている法律です。下記に挙げるような正当事由がない限り、貸主であるオーナーからのサブリースの契約解除の申し出は、認められない場合があります。

・オーナー自身や親族が住む場合
・やむを得ない売却が必要な場合
・取り壊す必要がある場合

オーナーや親族が物件を使用する場合は、正当事由として認められる場合もあります。正当事由の1つである、やむを得ない売却とは再開発地域の一部になるなど、オーナー以外の理由です。また、老朽化による災害リスクが高まっている場合であれば、取り壊す必要があるとして認められるケースがあります。単純に利回りの向上が目的など、オーナー都合の場合は正当事由として認められません。

契約解除が認められたとしても、不動産会社によっては高額な違約金を請求される可能性があるため注意しましょう。

サブリースに向いている人は?

サブリースを検討する際は、メリット・デメリットを踏まえた上で判断するのが大切です。加えて、サブリースに向いている人の特徴を把握すると、契約を検討する材料として役立ちます。

サブリースに向いている人の特徴は下記の通りです。

・管理に手間がかけられない人
オーナー自ら物件管理をすると、幅広い業務への対応が必要となり負担が大きくなります。サブリースであれば、不動産会社が丸ごと物件を借り上げて管理業務を請け負ってくれるため、オーナーの手間が省けます。・安定した収入を得たい人
自己管理や管理委託では、空室がある分だけ家賃収入が得られません。一方でサブリースは家賃保証があるだけではなく、空室が出れば不動産会社が入居者募集にも対応してくれます。物件管理の経験や専門知識がない初心者の人でも、不動産投資を始める上で利用しやすく、安定した収入が期待できるシステムです。

・不動産管理について自分で調べられる人
所有物件の管理に関する必要な情報は、自分で調べることも大切です。たとえば、契約を結ぶ不動産会社の実績や提案内容、物件の管理方法は適切かなどが挙げられます。契約する上での判断材料となる情報を自分で収集できると、サブリースのデメリットを回避しやすくなります。

サブリースは賃貸管理の負担軽減や不動産投資の安定化が図れる契約であり、長期的な視点で資金を積み上げることを目標とする人に向いています。一方で満室の場合でも、家賃保証による手数料が差し引かれ満額を受け取れない特徴などがあるため、可能な限り収益を大きくしたい人には向いていない契約と言えます。

サブリース契約時のチェックポイント

サブリース契約をする際は、以下で紹介する5つの点を確認するのが大切です。不動産会社の選定時に確認点を見逃して契約すると、想定していた収益が得られなかったり、トラブルを招く原因になったりするため注意しましょう。

保証される賃料

保証される賃料はどのくらいか、どの程度の手数料が差し引かれるのか確認しましょう。多くの場合10〜20%が手数料の相場となりますが、不動産会社により異なります。安定した資金計画を立てるためにも、保証内容を詳細まで確認しましょう。

提示された保証賃料が適切かどうか見極めるのも重要です。周辺物件の家賃相場や該当エリアの環境、利便性などの特徴を考慮し判断してください。提示された保証賃料が相場よりも低い場合は、理由を聞いた上で契約を検討するのをおすすめします。

免責期間

免責期間とは入居者が退去した後、オーナーへの家賃支払いが免除される一定期間のことです。免責期間は一般的には1〜3か月となっており、多くのサブリース契約で取り入れられています。

契約する際は、免責期間がどの程度設けられているのか確認してください。期間の長さは不動産会社によって異なるほか、オーナー毎に変更されているケースもあります。提示された契約書を確認し、期間と内容を十分に理解するのが大切です。

賃料見直し

サブリース契約では、賃料見直しによるトラブルが発生することがあります。オーナーの想定よりも早い段階で賃料見直しによる値下げが行われることによって、資金計画が狂い、トラブルに発展します。特に新築から数年のうちに値下げが行われると、資金繰りが困難になりローン返済が滞る可能性も考えられます。トラブルを避けるため、賃料見直しは何年ごとになるのか確認しておくことが重要です。

不動産会社によっては、一定期間は賃料を改定しない保証を提示しているケースがあります。契約書に一定期間の賃料定額について明記があるか確認しましょう。中には長期間の保証を謳い文句にする一方で、契約書には賃料改定が可能と記載する不動産会社もゼロではありません。いずれも徹底して情報収集すると、トラブルの発生リスクを抑えられます。

解約の条件

取り決められている解約条件や、中途解約時の違約金なども必ず確認しましょう。契約書にどのような内容で明記されているのか把握するのが大切です。条件について交渉する際は、オーナーと不動産会社の双方の認識を一致させ、解約トラブルが発生しないように書面に詳細を記録するのも欠かせません。

また、多くの契約では解約の通知期限が定められており、すぐには解約できないに注意が必要です。通知期限は解約日の確定に関わるため、解約を希望する際に早く対応できるよう、条件などと併せて確認しましょう。

修繕やリフォームの規定

修繕やリフォームに関する費用を誰が負担するのか、確認するのも契約時のポイントです。契約内容により全額オーナー負担と決められていたり、原状回復費用のみ不動産会社負担となっていたりするケースもあります。将来的に発生する出費をある程度つかむためにも、費用負担の割合や内訳を確認しましょう。

突発的な出費が発生する可能性はないか、他の条件も併せて考慮できると安心です。不動産会社に依頼し、負担金額の目安や修繕の頻度・リフォーム計画などを一覧にしてもらえると、契約の詳細を把握しやすくなります。

まとめ

サブリースとは、オーナーが所有する物件を不動産会社が一括で借り上げる契約のことです。借り上げた物件は入居希望者に貸し出され、入居者は不動産会社に賃料を支払います。オーナーは不動産会社から一括で家賃を支払われるほか、家賃滞納への対応や入居者募集、さらに共用部の清掃やメンテナンスなど建物の管理業務もすべて不動産会社に任せられます。

本業で忙しいサラリーマン大家の方や、家賃保証で安定した収入を得たい方にはサブリース契約がおすすめです。思いがけないトラブルが発生しないよう、契約内容はよく確認した上で契約を依頼する不動産会社を選びましょう。

J.P.RETURNSでは、3つの賃貸管理サービスを提供しています。家賃保証を重視したい方や、管理業務をまるごと任せたい方は、ぜひ一度J.P.RETURNSにご相談ください。
J.P.RETURNSの賃貸管理・提供サービス

【現役トップ営業マンが解説】
初心者から経験者まで必見セミナー

☑ マンション投資って儲かるの?
☑ 覚えておきたい「6つのメリット」
☑ 気を付けるべき「6つのリスク」

動画セミナーを視聴する

Supervisor

監修者

この記事を監修した人

室田 雄飛

この記事を監修した人

室田 雄飛

J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長

J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

Writer

執筆者

この記事を書いた人

染谷 重幸

この記事を書いた人

染谷 重幸

大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。

資格

宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)

Recommend

関連記事

Tag List

関連タグ

TOP

確かな価値ある不動産投資J.P.RETURNS

まずは資料を見てみる