不動産投資による税金還付とは?
不動産投資を行い、一定条件を満たすと税金の還付が受けられます。税金還付とは、納税した税金が実際に納めるべき金額よりも多かった場合、納め過ぎた税金が戻ってくることです。
不動産投資による税金の還付が行われるのは、所得税と消費税です。それでは所得税と消費税がどのようなケースで戻ってくるか見ていきましょう。
給与所得に対する所得税の還付
サラリーマンなどの給与所得者で、不動産投資が赤字であれば所得税の還付を受けられるケースがあります。
不動産投資での赤字は実際に赤字である必要はなく、減価償却の計上による会計上の赤字でも還付を受けられます。給与所得の黒字から不動産投資の赤字を引くのは「損益通算」と呼ばれ、不動産投資を行うにあたってよく利用される方法です。
損益通算をするには、確定申告で正確な給与所得と不動産所得を申告する必要があります。不動産所得がマイナスになったからといって確定申告しないと、損をしてしまうため注意しましょう。
消費税の還付
受け取った消費税よりも支払った消費税の方が多い場合、還付を受けられます。
ただし、不動産投資の家賃は消費税が非課税であり、支払った消費税額が受け取った消費税額よりも多くなることは、基本的にありません。それに加えて消費税の納税義務があるのは課税事業者のみであり、家賃収入が非課税であることもあいまってほとんどの不動産投資家は免税事業者になります。
不動産投資家が消費税の還付の条件を満たすケースは限定的であるため、ほとんどの人は還付を受けられないと思ったほうがよいでしょう。
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不動産投資で税金還付を受ける方法
不動産投資によって生じた収入や減価償却費などの経費を計算し、会計上赤字になる場合、確定申告によって、所得税や住民税の還付を受けられることがあります。還付金があるときは、確定申告から約1ヶ月~1ヶ月半程度で受け取ることが可能です。e-Taxで確定申告したときは、2週間~3週間程度で還付金を受け取れます。
ただし、申告した内容に間違いがあったときなどは、再度申告が必要となるため、受け取りまでの時間が長くなります。
受け取り方法は以下の2つです。
口座振込み
還付金は通常、口座振込みで受け取ります。確定申告の際に口座情報も提出するので、別途手続きをする必要はありません。
郵便局かゆうちょ銀行の窓口
還付金は、郵便局やゆうちょ銀行の窓口でも受け取れます。この場合、確定申告の際に、受け取り先の郵便局名やゆうちょ銀行の支店名、出張所名を指定しておくことが必要です。
税金の還付額をシミュレーションしてみよう
不動産投資で経費が収入より上回るときは、給与所得により支払った所得税や住民税が還付されることもあります。確定申告によりどの程度の税金が還付されるのか、シミュレーションしていきましょう。
節税についてのシミュレーションについてより詳しく解説した記事もあります。合わせて確認してみてください。
不動産投資の節税はシミュレーションが大事。節税できる理由も解説
所得税
不動産投資により100万円の収入があり、減価償却費を含めた経費が250万円、所得控除などを差し引いた給与所得(課税所得額)が500万円の場合でシミュレーションしてみましょう。なお、不動産所得と給与所得以外の所得と、住宅ローン控除などの税額控除はないと仮定します。
この場合、給与所得に対する所得税額は57万2,500円(所得税率20%、控除額42万7,500円)で、給与からすでに源泉徴収されています。しかし、確定申告することで不動産投資による損失150万円(100万円-250万円=-150万円)が給与所得と通算されるため、実際の課税所得額は350万円です。
課税所得額350万円に対して発生する所得税額は27万2,500円(所得税率20%、控除額42万7,500円)となります。源泉徴収された57万2,500円から差し引くと、還付される所得税額は30万円と計算できるでしょう。
住民税
住民税は所得税とは異なり、給与から源泉徴収されません。確定申告などにより申告された課税所得額に基づいて計算された後に、給与から天引きされる形で支払います。そのため、確定申告により不動産投資によって損失が生じたことを申告すると、給与から天引きされる住民税額が給与所得だけから計算した税額よりも少なくなるでしょう。
1年間の給与所得が500万円であれば、翌年の給与から住民税額として50万5,000円(住民税率10%、均等割額5,000円)が天引きされます。しかし、不動産投資によって生じた損失150万円と給与所得を通算することで、実際の課税所得額は350万円となり、天引きされる住民税額は35万5,000円(住民税率10%、均等割額5,000円)と少なくなるでしょう。
不動産投資で税金対策する方法
不動産投資により税金対策する仕組みとしては、次の4つが挙げられます。
それぞれの仕組みについて、詳しく見ていきましょう。
減価償却費で節税する
設備や物件に投資した金額を耐用年数で割って減価償却費として経費計上できます。その分、課税対象額が減り、節税できることがあるでしょう。
例えば、木造モルタル造の新築アパートを1.5億円で購入したとします。計算を単純化するために建物部分を6,000円と仮定しましょう。この場合の法定耐用年数は20年のため、毎年300万円ずつ減価償却費として経費計上することが可能です。
建物本体だけでなく追加で設置した設備などの費用も、各耐用年数で割り、減価償却費として経費計上すれば、さらに課税対象額を減らせるでしょう。
減価償却で節税する方法についてより詳しく解説した記事もあります。合わせて確認してみてください。
不動産投資の『減価償却』を利用して節税できる⁉その仕組みや計算方法までプロが徹底解説
減価償却費以外の経費で節税する
不動産投資において、経費計上できるのは減価償却費だけではありません。不動産の売上のためにかかった費用や、税金等も対象となります。
収入・経費一覧
不動産収入の対象になるもの、経費となるものは以下のとおりです。
不動産収入となるもの | 経費計上できるもの |
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青色申告で控除額を増やす
3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出すると、その年の青色申告ができます。また、1月16日以後に事業を開始した場合は、事業開始日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出しましょう。
青色申告すると特別控除が適用され、最大65万円を課税対象額から減らすことが可能です。課税対象額が減る分、所得税や住民税なども減額できるでしょう。
ただし、青色申告をするためには、青色申告承認申請書を提出するだけでなく、複式簿記で帳簿を作成することが義務付けられています。作成する書類が多く、手間が増える点に注意しましょう。
また、特別控除額は不動産経営の規模によっても変わります。アパートなどを経営しているときは10室以上、家屋を貸し付けている場合は5棟以上の規模であれば、特別控除額は55万円です。帳簿を電子保存している、もしくはe-Taxで確定申告期限内に確定申告をしている場合、特別控除額は65万円になります。一方、10室未満のアパートや5棟未満の家屋を経営している場合は、特別控除額は10万円です。
相続税対策に活用する
例えば1億円の現金を相続するときは、1億円の財産として相続税を計算します。しかし、不動産を相続財産とするときは、地価公示価格の約7割に相当する固定資産税評価額で相続税を計算するため、現金で相続するよりも相続税額を減らすことが可能です。
また、投資用不動産であれば軽減税率が適用されるため、さらに相続税額を減らせます。相続税対策としても、不動産投資を利用できるでしょう。
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サラリーマンが税金還付を受ける際の注意点
会社員として給与所得を得ている人も、不動産投資によって効果的な節税ができます。しかし、いくつか注意すべき点もあります。会社員が不動産投資をする際の注意点としては、次の3つが挙げられるでしょう。
・費用と手間のバランスを考える
・節税が不動産投資の目的にならないようにする
・本業の所得税額が少ないと節税効果も少ない
それぞれのポイントについて解説します。
費用と手間のバランスを考える
不動産投資で節税できるといっても、手間をかけすぎて本業に支障が出てしまっては本末転倒です。そのため、任せられる部分はプロの力を借りるのが得策です。
例えば、不動産投資を始める際の物件探しは、かなりの手間がかかります。不動産投資会社に自分の投資方針などを話し、それに見合う物件を探してもらうと、大幅に負担を減らせます。プロの目でスクリーニングをかけた物件であれば、成功する確率も高まるでしょう。
また実際の運用も、手間を最小限におさえるためにも管理会社に委託するのも効果的です。費用はかかるものの、入居者の満足度も高められて入居期間が長くなる結果、収益面でもプラスになるでしょう。
節税が不動産投資の目的にならないようにする
不動産投資ではあくまで利益をあげることが最優先です。節税目的のみで始めて、適当に物件を選んでしまうと、節税額以上に手元資金がマイナスになってしまう恐れがあります。
例えば、50万円の節税ができても、手元資金が100万円減ってしまっては元も子もありません。あくまで節税は副次的な効果として捉え、不動産投資での資産拡大を最大の目的として始めましょう。
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本業の所得税額が少ないと節税効果も少ない
不動産投資の赤字と給与所得などを損益通算によって、課税対象を圧縮するのが損益通算の仕組みです。
しかし、元々の所得税額や住民税額が少ない場合は、節税効果も少なくなる点に注意しましょう。また、給与所得が多い場合でも、不動産投資による損失が大きすぎると、節税額以上に手元資産が減ってしまう可能性もあります。
なお、青色申告をしている場合は、所得税額や住民税額が少なく、不動産投資による損失をすべて控除できないときは、翌年以降に控除しきれなかった損失を繰り越す「繰越控除」を利用することが可能です。繰越控除では、不動産投資による赤字を最大3年間繰り越せます。赤字が多そうなときも、青色申告を選択するようにしましょう。
不動産投資の税金還付に関するよくある質問
Q1. 還付金はいつ振り込まれますか?
還付金は確定申告の手続きを行ってからおおよそ1ヶ月~1ヶ月半くらいで振り込まれます。
もし確定申告の手続きをe-Taxで行うと、2週間程度で還付金が振り込まれるケースもあります。還付金が振り込まれる時期は手続き方法や、管轄の税務署で多少変動すると考えておくとよいでしょう。
Q2. 還付金はどのように受け取れますか?
還付金は、確定申告で申告した口座への振り込みで受け取るか、郵便局やゆうちょ銀行の窓口で受け取れます。
郵便局やゆうちょ銀行の窓口で受け取る際には、確定申告で郵便局の本・支店名やゆうちょ銀行の支店名・出張所名を指定しなければいけません。
不動産投資は常に税金を意識して進めよう
不動産投資で赤字となった場合、確定申告によって還付金を受け取れます。事業規模で不動産投資を行うと、青色申告によってさらに節税額が大きくなります。ただし、節税のみを目的とした不動産投資はあまりおすすめできません。
なぜなら、入居者がいないただの赤字状態が続けば、節税になるものの、それ以上に手元資産を大きく減らしてしまう可能性があるためです。そのため、あくまで資産運用として不動産投資を行い、節税は副次的効果として考えるのがいいでしょう。
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