「オーナーチェンジ物件の基礎知識」
まずはオーナーチェンジの定義と主な特徴について説明します。不動産投資を実際に始めるに当たって、オーナーチェンジの何たるかを理解しておいていただければと思います。
オーナーチェンジとは?
オーナーチェンジとは、入居者が居住した状態で物件を売買することです。入居者から見ると、賃貸借契約は継続となります。契約は残った状態で、物件のオーナーだけが変更となるわけです。
当然ながら、全部屋が空室の状態で物件を売買したらオーナーチェンジとは呼ばれません。マンションのうち1室だけであっても満室であっても、入居者が1人でもいればオーナーチェンジ物件とされます。
オーナーチェンジ物件の主な特徴
オーナーチェンジ物件の最大の特徴は、入居者と締結している賃貸借契約の各種条件を新たな買主が引き継ぐ点にあります。貸借人(入居者)の支払う賃料を受け取る権利だけではなく、敷金の返還や建物の管理などの各種義務も引き継ぎます。
オーナーチェンジは、投資用の不動産購入にのみ適用されます。居住用の住宅ローンを使用することはできません。オーナーチェンジ物件の購入のために融資を希望する際は、不動産投資用のローンを利用することになります。
「オーナーチェンジ物件のメリット・デメリット」
メリットとデメリットを踏まえて、オーナーチェンジ物件を購入するときに意識したいポイントをいくつか紹介します。こちらをチェックシートのようにまとめて、物件購入時に役立ててください。
物件について詳しく調査する
事前の立ち入りが難しいだけに、それ以外の方法で物件情報を調査する必要があります。入居者情報、物件の管理状況、そして周辺環境は押さえたいところです。
入居者情報には、入居期間や保証人といった個別の情報はもちろん、敷金の扱いなど契約内容も含まれます。物件の管理状況としては、特に備品・設備の故障や老朽化の有無、そして、共用部の状態が挙げられるでしょう。周辺環境とは、駅やバス停など公共交通機関からの距離や周辺にある施設を指します。
こうした情報を売主や管理会社からヒアリングしたり、自分の足で歩き回ったりすることで得るようにしましょう。
物件の利回りを計算する
ある程度情報を得たら、物件の利回りをあらかじめ計算してください。「利回り」とは、投資額に対する利益の大きさを示す指標です。利回りの高い物件ほど、所有者に多くの利益をもたらす可能性が高いと言えます。
利回りには、表面利回りと実質利回りがあります。表面利回りは「年間収入÷購入価格」で求められ、物件が生み出す収益性の目安として広告に記載されています。実質利回りは、「(年間収入-年間支出)÷購入価格」で求められます。管理費や交際費などの経費を差し引いた利益の大きさを指しているので、より現実に近い利回りです。
利回りを計算するときは、表面利回りだけではなく実質利回りにも注目するようにしてください。
わからないことは不動産のプロに相談する
どうしても得られる情報は限られますし、初心者であればなおさらわからないことが多いと思います。この点を考えると、やはり不動産のプロに相談するのがよいでしょう。
もちろん、本やインターネット、不動産投資セミナーなどを活用して不動産経営の知識を身に付けることは重要です。しかし、不動産取引や証券取引所のような公開の場で行われるわけではないため、有用な情報が人間関係の中で内々にやり取りされることも少なくありません。
そう考えると、不動産のプロ、すなわち不動産会社の担当者と付き合いを深めることが欠かせません。担当者と懇意になると、オーナーチェンジ物件の相場や空室対策のやり方、物件管理の方法、不動産投資ローンを借りるときの注意点など、わからないことをその都度相談できます。さらに担当者経由で優良物件を紹介してもらえるケースもあります。
「オーナーチェンジ物件から不動産投資を開始するのもあり!」
オーナーチェンジ物件は、最大のリスクである空室リスクを回避するのに有効な手です。初心者向けの売買形態とも言えるでしょう。ただし、物件の管理状況などを立ち入って確認できないため、初心者ほど情報の不足した状態で購入に踏み切ってしまいがちです。それではリスクが高く、どうしてもギャンブル的な要素が入ってきてしまいます。
最後にご説明したとおり、できる限り情報を集める努力を怠らないことと、オーナーチェンジに慣れた不動産会社との関係を構築することが重要です。初心者であれば、特にプロの力をどう借りるのかが物件経営の成否に影響する大きなポイントです。