投資用マンションを自分で住むことはできる?
結論としては、投資用マンションに自分で住むことは可能です。
投資用マンションは家賃収入を目的に建てられた物件で、設備のグレードが少し低いなど、一般のマンションと異なる仕様になっている場合もありますが、普通に住む分には特に差し支えありません。しかし、投資用マンションに自分で住むためには以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
〈不動産投資ローンを完済している〉
不動産投資ローンを完済していれば、自分の意思で投資用マンションに住むことを決められます。しかし、ローンを組んでいて完済していないなら、投資用マンションに自分で住むと、契約違反になる場合もあるため確認が必要です。
〈全額自己資金で購入した〉
不動産投資ローンを使わずにすべて自己資金で購入した投資用マンションは、完全に自分の所有物なので、どこからの許可も不要で住めます。
〈不動産投資ローンは残っているが金融機関の承諾を得た〉
不動産投資ローンの返済の途中で、投資用マンションに自分で住む場合は、金融機関の承諾を得る必要があります。金融機関は家賃収入からの返済を前提に貸付を行っているので、勝手に居住用に変更できません。
金融機関に理由を説明して承諾を得られれば、ローンの残債があっても投資用マンションに自分で住むことは可能です。
投資用マンションに自分で住むデメリット3つ
収益が上がらない資用マンションに自分が住むことで、赤字の拡大を防ぐ効果が期待できます。投資用マンションに自分で住むことを検討する際は、以下のデメリットについて把握しておかなければいけません。
それぞれ詳しく解説します。
住宅ローンへの変更が難しい
不動産投資ローンは住宅ローンより金利が高く設定されています。不動産投資ローンの金利が高い理由は、空室の発生で家賃収入が得られないなどの貸し倒れリスクがあるからです。
住宅ローンは自分が住む家を購入する目的で、年収から割り出した返済負担率などをもとに融資額の上限が決められるので、返済不能になるリスクが低いです。また、一般的な借入期間は30〜35年と長く、無理のない返済が可能であるため金利が低く設定されています。
マンションの使用目的を投資用から自己居住用に切り替えるので、不動産投資ローンから住宅ローンに切り替えたいところです。しかし、不動産投資ローンから住宅ローンへの変更は、審査の基準が異なっているので難しいといわれています。不動産投資ローンでは物件の収益性が審査に大きな影響がありますが、住宅ローンでは個人の年収に重きがおかれています。
また、金融機関は融資により得られる金利で収益を上げているので、融資先の都合で金利の高い不動産投資ローンから金利の低い住宅ローンの借り換えを、容易には受け入れてくれません。投資用マンションを自宅に変更した時点でローンの残債があっても、金融機関は簡単には不動産投資ローンから住宅ローンへの借り換えを認めてくれない可能性が高いです。
家賃収入がなくなる
投資用マンションを自分の居住用にすると家賃収入は得られません。これまで家賃収入を原資に支払っていたマンションの経費を、自らの収入で補う必要が生じます。
▪︎マンションの所有にかかる主な費用
管理費 | 共用部分の管理に使われる |
修繕積立金 | 大規模な修繕に備えて毎月積み立てられる |
固定資産税 | 建物部分と土地部分に課せられる市町村税 |
損害保険料 | 火災保険や地震保険 |
また、残債があり、不動産投資ローンから住宅ローンへ切り替えができない場合、金利の高い不動産投資ローンを返済し続ければなりません。
投資用マンションに自分で住むと家賃収入がない状態で、マンションの所有にかかる費用のすべてを、自分の所得からの支払いを迫られます。
居住用としてのスペックが低い
投資用マンションは単身向けに設計されていることが多く、一般的な居住用マンションよりも部屋が狭い傾向にあります。
また、投資用マンションは立地のよい物件に需要があるため、駅に近いなど地価の高い場所に建てられることが多いです。そのため、マンションの価格が高くなりすぎないように、設備のスペックを抑えて設計される傾向にあります。
投資用マンションは居住用として単身者が長期間住むのに問題はありません。ただし、間取りが狭いことや、コスト削減で居住用マンションに比べてキッチンやバスルームなどの設備が、チープであることも多いです。そのため、家族で住む人や高い住み心地を望む人には適さない物件といえるでしょう。
投資用マンションに自分で住むのはデメリットが多いです。そのため購入する際に需要のある物件を手に入れ、自分で住まざるを得ない状態を極力避ける必要があります。投資用マンションで収益を上げ続けるために、まずはJ.P.RETURNSの無料のスマホ書籍と無料の投資セミナー動画で学んでみてください。
投資用マンションに自分で住む注意点5つ
投資用マンションに自分で住むことで、喪失してしまうメリットもあります。
それぞれ詳しく解説します。
節税ができない
投資用マンションで賃貸経営を行う場合、減価償却費を経費計上すると節税が可能です。
減価償却とは投資用マンションなどの固定資産を購入した際に、かかった費用を対応年数で割った金額で、その年ごとに経費として計上する仕組みです。減価償却費は経費計上される年において、実際の支出を伴いません。投資用マンションが現金収支で黒字でも、減価償却費により帳簿上赤字である場合は節税可能です。また、不動産所得がマイナスなら、給与所得との損益通算により課税所得を減らせます。
しかし、投資用マンションを自宅にして賃貸経営から退いた時点で、減価償却費の経費計上はできなくなり、恩恵を受けていた節税効果は消失します。投資用マンションに自分で住むと、節税のメリットがなくなることも理解した上で、切り替えを検討してください。
金融機関には必ず相談する
不動産投資ローンを完済していない状態で、投資用マンションに自分で住む場合は、必ず金融機関に相談してください。金融機関は賃貸物件に対して融資しているため、無断で投資用マンションを個人の居住用にしてしまうと、当初の目的とは異なり契約違反になる恐れがあります。
融資を決定する際、物件の収益性や事業計画、年収などの個人属性や信用状況などから綿密に審査を行っています。そのため、使用目的が変わると、融資の可否の条件が崩れてしまうのです。
正直に理由を説明し相談すると、金融機関は投資用マンションに自分で住むことを承諾してくれるかもしれません。
住宅ローン控除が使えない
投資用マンションをローンで購入しても、住宅ローン控除の適用は受けられません。住宅ローン控除は自分が居住しているのが条件だからです。
住宅ローン控除の適用を受けるには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
(1)住宅取得後6か月以内に入居し、引き続き居住していること
(2)家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上であること
(3)床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること
(4)民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローン等を利用していること
(5)住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済するものであること
(6)控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下であること
引用:マイホームを持ったとき|国税庁
投資用マンションは収益目的で第三者に賃貸するためのものなので、マイホームを購入したときに適用される住宅ローン控除は使えません。
入居者は追い出せない
投資用マンションに入居者がいる場合は、オーナーといえども、自分が住むために入居者を追い出せません。借地借家法では賃貸人よりも賃借人の権利が守られる法律になっています。そのため、賃貸人から賃借人に退去を申し入れるには、借地借家法28条に定められた正当な理由が認められる必要があります。
借地借家法で定められた賃貸人が賃借人に退去を申し入れるための正当な理由は以下の通りです。
・賃貸人と賃借人の建物使用を必要とする事情
・建物の賃貸借に関するこれまでの経過
・建物の利用状況
・建物の現況
・立退料の申出
参照:法制審議会・不動産登記法部会第2回会議 民法・不動産登記法部会資料3
具体的には、老朽化で建て替えないと危険であるといった、やむを得ないと客観的に思われるような状態でなければ、基本的には正当事由は認められないと覚えておきましょう。上記の場合であっても、借主がすぐに承諾せず、立退料が発生するなど、金銭的な解決を迫られる可能性もあります。
もちろん、「自分が済む」という理由は正当事由に該当しないため、多額の立退料を支払うなどしないと、契約期間内であれば、簡単には住めないでしょう。
オーナーチェンジ物件で住宅ローンは使えない
オーナーチェンジ物件とは入居者がいる状態で購入する投資用マンションです。購入時に既に入居者がいる状態なので、募集などの経費を掛けなくて賃料を得られます。
また、オーナーチェンジ物件では、入居者の退去時の敷金返還義務や建物の不具合の修繕義務も引き継がれます。
オーナーチェンジ物件を入居者が退去したあとに、自分が住むことを前提に購入したとしても住宅ローンは使えません。なぜなら、購入時点では投資用マンションとして利用されているからです。
オーナーチェンジ物件をのちに自分が住むからといって、住宅ローンを借りて購入してしまうと、発覚した時点で金融機関からの信頼を失ってしまいます。さらに、一括返済を求められる可能性があるので絶対にしないでください。
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投資用マンションに自分が住んで失敗した事例3選
投資用マンションに自分で住む際の注意点を守らずに、失敗して信用や財産をなくしてしまった事例は多くあります。
その中で、失敗が多い事例を3つ紹介し詳しく解説します。
金融機関に相談せずに自分が居住しているのがバレた
失敗事例 不動産投資ローンで購入した物件を、金融機関に相談せずに自分の住まいとして使っていた。すると、金融機関にバレてしまい、結果、ローンの一括返済を求められてしまった。 |
金融機関は融資を審査する際、物件の利回りや本人の年収、不動産投資の経験など総合的に判断して決定しています。それが、当初の目的に反した使用をしていれば、契約違反を問われ、残債の一括返済を要求されるケースもあります。その場合、せっかく手に入れた物件の売却を迫られるかもしれません。
さらに、一括返済をするために物件を慌てて手放そうとすると、希望する価格での販売チャンスが減ってしまい、売却益だけではローンを返しきれない可能性もあります。
このような事態を防ぐためにも、投資用マンションに自分で住む場合は、前もって金融機関に相談するのは必須です。
住宅ローンに切り替えられたものの住宅ローン控除が使えなかった
失敗事例 投資用不動産ローンから住宅ローンへの切り替えはできたが、マンションの面積要件を満たしておらず住宅ローン控除を受けられなかった。 |
典型的な投資用マンションは単身者をターゲットに設計されていることが多いです。1Rや1Kタイプの間取りが一般的で、床面積は住宅ローン控除が適用される最低面積を下回る物件があります。住宅ローン控除を受けるには、床面積が50㎡以上(2023年12月31日までに建築確認を受けていて合計所得が1,000万円以下の場合は40㎡以上)が条件です。
そのため、不動産投資ローンから住宅ローンの借り換えができても、面積要件を満たせず住宅ローン控除が適用されない事例が発生しています。
支払いが多く経済的に苦しくなった
失敗事例 投資用マンションを自分の住居にした結果、家賃収入がゼロになり、節税効果もなくなってしまった。住宅ローンへの切り替えもできず高い金利を払い続け、さらに固定資産税や管理費、修繕積立金などの金額が想像以上で、経済的に困窮してしまった。 |
投資用マンション経営は、家賃収入をローンの返済と物件にかかる費用に充てて、運用しながら長期的に取得するビジネスモデルです。また、減価償却費の計上で不動産所得が赤字になると給与所得などと損益通算できるので節税効果もあります。
ところが、投資用マンションに自分で住んでしまうと、家賃収入と節税効果を失ってしまいます。ローンの返済や物件にかかる費用をすべて自分の収入で支払う必要があり、負担の大きさに耐えられなくなる事例も珍しくありません。
返済の負担が重くなり生活が苦しくなる事例はたびたび発生しています。
Q&A
自分が住んでいる物件を投資用に切り替えられますか?
自分の住んでいる物件を投資用に切り替えられます。
しかし、ローンの残債があると、金融機関は住宅ローンの継続を認めてくれません。そのため、自分の住んでいる物件を投資用に変更するには、不動産投資ローンへの借り換えが必要です。
不動産投資ローンは住宅ローンに比べて金利が高いので、入居者がいない場合は大きな損失を出すリスクがあります。自分が住んでいる物件を投資用に変更するときは、周辺の賃貸需要を考慮して慎重に行ってください。
Q.投資用マンションに自分で住むメリットはある?
A.投資用マンションに自分で住むメリットはあります。
投資用マンションは利便性の高い地域に建てられていることが多いです。さらに、空室が長く続いている場合は、自分が住むことで損失の拡大を防ぐ効果も期待できます。
ただし、金融機関へ自分が住むための許可や、住宅ローンの乗り換えが困難であるなどのデメリットもあるので慎重に判断するのがおすすめです。
Q.投資用マンションに自分が住んでも住宅ローンへの切り替えが難しいのはなぜ?
A.投資用マンションに自分が住んでも住宅ローンへの切り替えが難しいのは、不動産投資ローンと住宅ローンでは、審査の基準や金利が異なるからです。
また、金融機関は融資した金利で収益を得ています。そのため、金利の高い不動産投資ローンから金利の低い住宅ローンへの借り換えを快く思っていないのも、切り替えが難しい理由です。
まとめ:投資用マンションに住むことはできるがデメリットも大きい
投資用マンションに自分で住む理由の多くは、空室対策です。可能なら、空室がなく入居者から継続的に家賃を得たいと誰でも思うでしょう。
しかし、やむを得ず投資用マンションに自分で住む場合は、金融機関に事前に相談するなどの注意事項を守らなくてはいけません。さもなければ、ローンの一括返済などのペナルティを受ける可能性があります。
投資用マンションに自分で住む状況にならないためには、物件を見極めなくてはいけません。そのためには、不動産投資を始める前に基礎知識の習得が必須です。
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