サブリース契約とは?失敗例からメリット・デメリットまで詳しく解説します!

公開日:2023.11.30

最終更新日:2024.01.04

監修者:室田雄飛

執筆者:杉山 明熙

「サブリース契約という言葉をよく耳にするけど、具体的にどんな契約なの?」という疑問を持つ人は多いはず。サブリース契約をおすすめされたからといって、むやみに契約すると賃貸経営で失敗することになりかねません。

今回は、サブリース契約の概要やメリット・デメリット、契約にあたって気をつけるべきポイントを解説します。サブリース契約について検討中の人は、この記事を読んで参考にしてみてください。

関連記事:サブリース契約はなぜトラブルになりやすい?5つの理由やトラブル事例などについて解説

サブリース契約とは

不動産投資においてよく聞くサブリース契約ですが、ここで基礎知識を理解しておきましょう。まずは定義について解説します。

サブリース契約の定義

サブリース契約とは借り上げする管理会社が、オーナーから建物を転貸目的で借り上げ、第三者へ貸して利益を得る契約方法です。借り上げする管理会社は、オーナーに代わって賃貸経営を行い、空室の有無にかかわらず一定の家賃をオーナーへ支払います。

サブリース契約に向いているオーナーの特徴は、安定的に収益を得たいという人や、本業が忙しく入居者管理や業務を管理会社へ一括して任せたいという人です。特に賃貸経営の経験が浅いオーナーは、ほぼ手放しで収益を得られるためサブリース契約を選ぶことが多いのです。

サブリース契約は3つの管理形態のうちのひとつ

サブリース契約は、不動産を管理する形態のうちのひとつです。サブリース契約の他には管理委託、自己管理のふたつがあります。

管理委託とは、賃貸の募集や入居者管理などの管理業務を管理会社に委託する方法です。この方法は面倒な管理業務を任せることができるため、賃貸経営の経験が浅い人でも安心です。ただし、管理会社へ支払う管理料が発生したり、入居者がいないときはその分の収入がなくなったりするデメリットもあります。

自己管理とはオーナーがすべての管理業務を行う方法です。自己管理では管理料は発生しませんが、入居者管理や建物のメンテナンス、クレーム対応など、多くの負担をオーナーが背負うことになります。メンテナンスや入居者管理が行き届いていない物件は空室率が上がってしまう恐れがあるため、賃貸経営の経験が豊富な人に向いているでしょう。

2020年12月に『サブリース新法』が施行された

面倒な入居者管理の手間が省けることや、安定した収益を上げられるサブリース契約ですが、悪質なサブリース業者による不利益が社会問題に発展しています。その現状を鑑み、2020年6月に『サブリース新法』が施行されました。

このサブリース新法により、サブリース業者が不当な勧誘をすることができなくなり、誇大広告も禁止となりました。また、重要な説明をしないままの契約締結など、サブリース業者の行動が規制されるようになった大きなきっかけとなりました。

(出典:「国土交通省:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)」)

 

サブリース契約のメリット4点

サブリース契約には、他の管理形態とは異なる以下のようなメリットがあります。

● 一定の収入を継続的に得られる
● 面倒な賃貸管理を任せられる
● 確定申告の手間が軽減される
● 相続税対策に有効である

それぞれを詳しく解説します。

一定の収入を継続的に得られる

賃貸経営において一番の不安は、空室や滞納により賃料を得られないことです。しかし、サブリース契約は不動産を管理会社が借り上げているため、空室の有無を問わず家賃保証のシステムにより毎月一定の収入が確保されます。

一定の収入を継続的に得られることは、オーナーにとって大きな安心材料です。

面倒な賃貸管理を任せられる

サブリース契約は、不動産の管理業務を管理会社に一括して任せられるのがメリットです。賃貸経営には、入居者募集や広告活動、契約業務や入居者管理、建物のメンテナンスまで数多くの業務が発生します。

これらの業務をオーナーが一人でこなすには多大な労力が必要とされるため、管理業務を代行してもらえるサブリース契約は、忙しいオーナーにとって大きな利点だといえます。

確定申告の手間が軽減される

サブリース契約によって、賃料などの確定申告作業の手間を簡略化できることもメリットのひとつです。賃貸経営では、得られた収益を適切に申告し、正しく納税することが必要とされます。

その点、サブリース契約で得られる収入は管理会社から得られる一定の収入のみで、収支報告書を見ながら確定申告を行えば完了します。このように、手間のかかる確定申告から開放されることもサブリース契約のメリットです。

相続税対策に有効である

サブリース契約は相続税対策にも効果的です。相続の際に課税対象となる「貸家の評価額」は、貸している割合が多いほどマイナスで計算することができます。

その点、サブリース契約は管理会社に借り上げてもらうシステムのため「100%満室」の状態です。したがって、サブリース契約を締結している物件は相続税の課税額を減らす上で有効な対策となります。

 

サブリースのデメリット7点

サブリース契約では多くのメリットを得ることができる反面、デメリットも存在します。主なデメリットは以下の通りです。

● 収益性が低下する
● 修繕費が割高になる
●オーナー側からの解約が難しい
● 免責期間が設定されている
●入居者を選ぶことができない
● 定期的に賃料が見直される
● 売却先が見つかりにくい

ここでは、サブリース契約のデメリットを詳しく解説します。

収益性が低下する

空室を問わず毎月一定の収入を得られるサブリース契約ですが、オーナーの手元に入ってくるのは入居者の家賃から料率分を差し引いた額です。一般的に家賃保証率は80〜90%と言われているため、入居者が支払う家賃の全額が手元に入ってくるわけではありません。

そのため、当初計画していた利回りよりも低くなる可能性があります。少しでも多く収益を上げたい人は注意が必要です。

修繕費が割高になる

サブリース契約は、サブリース会社が物件のメンテナンスや修繕内容を決めるため、工事費用が割高になる可能性もあります。また、どの工事業者を利用して修繕するのかも管理会社が決めるケースが多いため、思ったより修繕費が多くかかるケースがあることも理解しておきましょう。

オーナー側からの解約が難しい

サブリース契約は保証賃料や管理方法に不満があっても、オーナーからの解約が難しいケースがあります。たとえば、「6ヶ月前までの申し出が必要」や「中途解約には解約手数料が必要」、契約内容によっては「中途解約は不可」と定められている場合もあります。

中途解約によるトラブルを防ぐためには、事前に契約内容をしっかり確認し、中途解約が不可の場合は条項に解約条件を盛り込んでもらうようにしましょう。

免責期間が設定されている

サブリース契約では「免責期間」が設定されていることがあります。免責期間とは、管理会社がオーナーに家賃を払わなくてもいい期間のことを指します。免責期間は、「サブリース契約を締結して入居者を募集するための期間」として設定されている場合が多く、一般的には1ヶ月から半年程度となっています。

免責期間には家賃収入が発生しないため、契約書で事前に確認することが重要です。

入居者を選ぶことができない

サブリース契約では、入居者の募集活動や入居審査はすべて管理会社が行います。よって、オーナーが入居者を選べないことがデメリットといえます。

管理委託の場合は、不動産会社が見つけてきた入居希望者の最終決定はオーナーが行います。しかし、管理会社が不動産を借り上げているサブリース契約ではオーナーではなく管理会社が最終決定を行っていることが多いのです。

中には、マナーの悪い入居者がクレームを起こしたり、高齢者による自然死などが発生したりする可能性もあります。

定期的に賃料が見直される

サブリース契約では、定期的に賃料が見直されることがあります。多くの場合、2年ごとに契約更新が行われ賃料が見直されます。築年数が経ち入居者の家賃が下がっている場合は、この見直しによって保証賃料が下がることがほとんどです。

賃料の見直しはトラブルの要因になりやすく、裁判にまで発展することのある問題です。そのため、契約前に契約更新や賃料見直しの内容をしっかり把握しておくようにしましょう。

売却先が見つかりにくい

サブリース契約を利用している不動産は、思ったときに売却できないことがあります。その理由のひとつは収益性が低いことです。そのため、管理委託や自主管理で経営して満額で収益を得たい買い手からは、収益性が低いサブリース物件は敬遠されることが多いのです。

また、サブリース契約は管理会社が入居審査を行うので、中には問題のある入居者がいて家賃滞納を起こすかもしれません。そのため、金融機関からすると貸し倒れになる可能性があり、買い手の融資が下りにくいことも特徴です。

このように、サブリース契約を締結していることで、通常より売却が難しいのがデメリットのひとつといえます。

 

サブリース契約でよくある失敗例

サブリース契約を利用したオーナーの失敗例を見てみましょう。ここでは、よくある失敗例として以下を紹介します。

● 保証賃料が減額された
●入居者情報が分からず家賃請求できなかった
● サブリース会社が倒産した

それぞれを詳しく見ていきましょう。

保証賃料が減額された

サブリース契約でよくある失敗例として、保証家賃を減額されたケースがあります。たとえば、「10年間家賃を下げない」と謳っていたにもかかわらず、経営悪化を理由に保証賃料の減額を求めたとして訴訟にまでつながったケースがあります。

この失敗を防ぐためには、契約内容をあらかじめよく確認することが重要です。サブリース契約では、数年ごとの契約更新に伴い賃料が見直されることがほとんどです。契約前に提示された保証年数が実際と違うケースがあるため、保証家賃が見直されることを認識した上でサブリース契約を締結するようにしましょう。

入居者情報が分からず家賃請求できなかった

よくある失敗例には、サブリース契約の解約後にオーナーに入居者の情報が共有されておらず、家賃を請求できないというケースがあります。これは、サブリース契約中に管理会社から入居者の情報が提供されていないために起きたトラブルです。

この失敗を防ぐためには、管理会社に管理業務を任せきりにせず、定期的に入居率や入居者情報を確認することが大事です。サブリース契約が終了した場合、まずはオーナーが責任を持って家賃の回収をしなければなりません。その際に入居者情報がなければ、家賃回収に大幅な手間と時間がかかってしまうのです。

また、中には入居者情報の公開を渋る管理会社があります。契約前に情報公開のことを確認し、情報を共有してもらえない管理会社は避けたほうがいいでしょう。

サブリース会社が倒産した

サブリース契約中に管理会社が倒産してしまうと、保証賃料が途切れてしまいます。サブリース契約のよくある失敗例として、管理会社が倒産して保証賃料が途切れ、金融機関への返済が滞るということがあります。

これを防ぐためには、管理会社の選定をしっかり行う必要があります。たとえば、サブリース契約のみで運営をしている会社や、借り入れが多く不安定な経営をしている会社は要注意です。会社のホームページをチェックし、本業や信頼性を確認しましょう。

 

サブリース契約で気をつけるべきポイント

サブリース契約では、以下のポイントに気をつけましょう。

● 家賃保証率は適正か
● 何年ごとに賃料が見直されるのか
● 免責期間は何ヶ月か
● 修繕費用は誰が負担するのか
● 解約条件は明記されているか

ここからは、サブリース契約で気をつけるべきポイントを詳しく解説します。

家賃保証率は適正か

サブリース契約のデメリットとして、入居者の家賃が全額オーナーに入ってくるわけではなく、80〜90%の保証賃料が設定されていると解説しました。そのため、サブリース契約を締結するにあたり、家賃保証率が適正かどうかを確認しましょう。

まず、家賃保証率が一般的な相場である80〜90%かどうか、確認することが重要です。それ以下の家賃保証率は相場より低いと判断しましょう。また、管理会社が入居者を適切に募集できるかどうかの確認も欠かせません。そのためには、事前に管理会社が物件周辺の情報に精通しているかを確認しましょう。

家賃保証率は、利回りに関係してくる重要なポイントです。契約前に家賃保証率を確認し、適正かどうかを見極めるようにしましょう。

何年ごとに賃料が見直されるのか

保証賃料は契約更新の際に見直されることがほとんどです。したがって、何年ごとに契約更新が行われるのかを事前に確認しましょう。何年ごとに賃料が見直されるのかは、契約書に記載されているため、思わぬ家賃減少を防ぐためにも契約書の確認を怠らないことが重要です。

また、契約書の確認とともに以下の点も把握しておきましょう。

● 保証賃料の固定期間
● 見直しの周期
● 値下げの限度額
● 過去の見直し実績

これらの情報を事前に知っておくことで、失敗を最小限まで防ぐことができます。

免責期間は何ヶ月か

サブリース契約には免責期間が設定されるのが一般的ですので、何ヶ月の免責期間なのかを事前に確認しましょう。具体的な免責期間には、「サブリースの契約後の免責期間」と、「入居者が退去した後の免責期間」の二つがあります。

一般的な免責期間は1ヶ月から半年が相場です。免責期間が長いとそれだけ収入が減ることになるため、免責期間の長さや契約後と入退去の免責期間に違いがあるか、などのポイントをかならずチェックしましょう。

修繕費用は誰が負担するのか

賃貸経営において、原状回復や部屋の修繕は必要不可欠です。これらの費用を管理会社が負担するのか、オーナーが負担するのかを確認しておきましょう。

一般的に多い費用負担割合として、経年劣化による修繕はオーナー負担、簡易的な修繕は管理会社が負担することがあります。費用の負担割合はできるだけ少ないほうがいいですが、どの修繕をオーナーが負担するのかを、他の条件などを考慮して総合的に判断しましょう。

解約条件は明記されているか

サブリース契約を途中で解約する際の条件についても確認しておきましょう。借地借家法では、借りる側である管理会社のほうが保護されやすいとされています。よって、オーナー側からの解約がスムーズにいかないケースが多いため、解約条件を確認することが重要といえます。

確認するべき解約条件としては、以下があげられます。

● 解約予告は何ヶ月前か
● 契約から解除できない期間は何ヶ月か
● どのような状況になれば解約できるのか

サブリース契約による賃貸経営がうまくいかないときは、中途解約することも必要になります。その際にスムーズに解約できるよう、事前に解約条件を確認しましょう。

 

まとめ

今回は、サブリース契約の定義やメリット・デメリット、気をつけるべきポイントについて解説しました。

サブリース契約は一定の収入を安定して得ることができ、面倒な管理業務を任せられるというメリットがあります。一方、家賃保証率が設定されているため収益性が低下することや、契約更新により定期的な賃料見直しがあるため、思った以上に収益が上がらないデメリットも存在します。今回紹介したメリット・デメリットやよくある失敗例などを参考に、自身がサブリース契約に向いているのかどうかをしっかり見極めましょう。

もし自分がどの管理形態に向いているのかわからない場合、プロに相談してみることをおすすめします。J.P.RETURNSでは、賃貸経営についての個別相談を承っております。J.P.RETURNSの一流コンサルタントが有益な情報を提供させていただきますので、まずはこちらへお問い合わせください。

 

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室田 雄飛

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室田 雄飛

J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長

J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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杉山 明熙

この記事を書いた人

杉山 明熙

元不動産営業の専業WEBライター。
不動産営業を12年間経験し店長、営業部長として、売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通。
個人ブログにて不動産営業への転職のお手伝い、不動産営業のノウハウ、不動産投資のハウツーなどを発信。
不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

資格

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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