不動産投資とは
不動産投資とは、マンションなどの不動産を購入して、その価値の上昇や賃料収入によって利益を得る投資手法です。大家さんとなって家賃収入を毎月受け取ると聞くとイメージしやすいでしょうか。不動産はインフレに強い実物資産なので、近年のように物価が上がる状況においても、資産形成、資産保全の両面で効果を発揮します。
多くの人が不安に思っている老後資金の解決手段としても有効であり、近年多くの会社員も不動産投資を始めるなど、今、注目を集めている投資手法の一つです。資産形成としても効果的ですが、節税効果の高さからも、高年収の人を中心に人気となっています。大家さんと聞くと、物件の管理や毎月の家賃回収など、手間がかかると想像するかもしれません。しかし、管理会社に任せれば、入居者募集から契約、家賃回収やトラブル対応まで委託できるので、忙しい会社員の方でも無理なく運用できるのも人気の要因となっています。毎月引かれる税金の高さに唖然としている高収入のビジネスエリートからしても、資産形成と節税対策を同時に行えるのはとても魅力的に感じられるでしょう。
節税対策を考える前に知っておくべきこと
節税対策としても有効な不動産投資ですが、実際に取り組む前に把握しておくべき点があります。例えば、節税効果には限りがあることや、リスクがあることなど、注意点を知らないまま始めてしまうと思わぬトラブルに発展してしまう可能性もあるので、以下の5つを始める前に必ず理解しておきましょう。
・長期の節税効果は見込めない
・不動産投資のリスクを把握する
・相続時にトラブルが起こる可能性もある
・赤字経営が続くと追加融資を受けられない場合もある
・節税目的のみで取り組まない
それではそれぞれ具体的に説明していきます。
長期の節税効果は見込めない
不動産投資では、物件の種類や築年数にもよりますが、数十年以上の高い節税効果は期待できません。初年度は諸経費が多いので節税効果が高いです。しかし、それ以降は管理費や固定資産税などの経費を計上できるものの、1年目と比べると経費の範囲は限定的となります。
減価償却費の計上によって2年目以降も一定の節税効果がありますが、それも耐用年数の期間内である点には注意が必要です。期間が過ぎると減価償却費が計上できず、節税効果が少なくなります。
減価償却については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい人は参考にしてください。
不動産投資の『減価償却』を利用して節税できる⁉その仕組みや計算方法までプロが徹底解説
また、いざ売却しようと思っても、耐用年数を過ぎた物件は需要が低下し、買い手が見つかりにくくなる場合もあるでしょう。
具体的には、「会計上は黒字だが手元資金は赤字」というデッドクロスが生じるときは、売却を考えるべきタイミングの一つです。減価償却期間を過ぎると経費として計上できなくなり、課税所得(会計上の利益)が増えて税金が高くなります。帳簿上は黒字でも、ローン返済が続けば、支出が多くなり手元の金額が少なくなるのです。
減価償却の終わりが近づき、物件の需要が下がる前に売却を検討するとよいでしょう。
不動産投資のリスクを把握する
不動産投資は高い節税効果が見込めますが、あくまでもメインで考えるのは投資で利益を上げることです。運用が苦しくならないためにも、不動産投資のリスクは頭に入れておき、事前に対策を講じておきましょう。
安定的な収入を阻害する要因として最も大きいのは空室リスクです。他にも、不動産投資には家賃を滞納されるリスクや多額の修繕費が発生するリスク、ローンの金利上昇のリスク、災害で物件が被害を受けるリスクなど、は事前に把握しておくべきリスクといえます。
節税だけを考えてリスクを想定しないと、節税効果以上の損失を被ることになるため、注意が必要です。節税効果を抜いても利益を上がられるくらいの厳しめの条件でシミュレーションしておくと安心です。
空室リスクを回避するには、物件選びから対策が必要になります。滞納や修繕費のリスクなどを考慮しておくことが大事で、万全の収支計画を立てて取り組む必要があります。
相続時にトラブルが起こる可能性もある
相続税対策で不動産投資をする場合、相続時のトラブル発生に注意しなければなりません。相続人が複数いる場合、不動産は簡単に分割できないので、争いが起きる可能性もあります。
不動産の相続人が決まるまでは相続人全員の共有になり、売却したり、賃貸したりする際にも全員の同意が必要になります。相続人のパートナーなどが口出しをすることなどで話し合いがまとまらないケースも珍しくありません。
トラブルを避けるためには分割方法を遺言で指定しておくなど、事前の対策が必要です。
赤字経営が続くと追加融資を受けられない場合もある
不動産投資の節税で損益通算すると、実際にキャッシュフローが出ていたとしても、会計上は赤字経営となります。そのため、金融機関からの評価が下がり、追加物件の購入のためにお金を借りられなくなる可能性があるでしょう。
不動産を追加購入して投資規模を拡大させる場合のみならず、突発的な設備修繕等で高額な資金が必要になるケースでも融資受けられなくなるかもしれません。
金融機関からの融資を確実に受けたい場合は、節税よりも事業として利益が出る不動産経営に注力した方が良いでしょう。
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節税目的のみで取り組まない
不動産投資の最大の目的を節税にしないことが大事です。なぜなら、節税のみで考えてしまうと、かえって手元の資金を減らしてしまいかねないからです。節税はあくまで手元に残る資金を最大化させるための手段の一つと認識してください。仮に不動産投資をする前と比べて、100万円の節税効果があったとしても、赤字が250万円なら、150万円多く手元資金が減ってしまいます。節税するがために、手元の資金が減ってしまっては本末転倒です。
そのため、節税効果を除いて、不動産事業として安定的に家賃収入を得られるか、経営が成り立ちそうかを注意して、物件選びを始めることがとても大切です。
所得税は、1年間の収入から必要経費や所得控除額を差し引いた所得にかかる税金です。住民税は道府県民税(東京都の場合は都民税)と区市町村民税に分かれ、所得税と同じく所得に応じて課せられます。
相続税は、亡くなった人から財産を引き継いだときに課せられる税金です。贈与税は、財産を無料で譲り受けたときに発生します。
法人税は、法人の企業活動で得られた所得に対して課される税金です。個人ではなく法人として不動産投資をした場合は、1年間の所得に対して法人税が課せられます。
所得税
所得税とは、1月1日~12月31日までの1年間に得た所得に対して課税される税金です。
所得税が課税されるのは年収ではなく、年収から各種控除などを差し引いた所得に対してです。
所得は10種類に分けられ給与所得や不動産所得、雑所得などがあります。所得の種類によって税率が異なり、給与所得は累進課税方式を取っていますが、不動産の売却時に課税される譲渡所得税は、売却する不動産の所有年数で税率が決まります。
住民税
住民税とは、行政サービスを維持するため、各人の所得に対して課税される税金です。
住民税の納税先は住民登録をしている自治体であり、都道府県と市区町村の両方に納税しなければなりません。
住民税は自治体によって税率が異なります。また、住民税には所得に対する「所得割」のほかに、所得額に関わらず納税しなければいけない金額である「均等割」があります。
贈与税
贈与税とは、財産の贈与が行われた機会に対して課税される税金で、財産を贈与された人が納税者です。
贈与税は1月1日~12月31日までに贈与された財産の合計金額から、基礎控除110万円を差し引いた金額に税率を乗じて算出されます。
なお、贈与とは当事者の一方が、もう一方に対して無償で財産を譲り渡すことです。
相続税
相続税とは、遺産を相続したり遺言で遺贈を受けたりしたときに課税される税金です。
相続税には基礎控除が認められており「3000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」で計算した金額未満の財産評価を相続する場合、相続税は課税されません。2015年からは現在の基礎控除に変更されており、基礎控除額が減っていることには注意しましょう。
なお、相続税は相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納税しなければなりません。期限があるため相続発生時には、早めに手続きすることを忘れないようにすることが大切です。
法人税
法人税とは、法人の所得に対して課税される税金です。
法人税は所得税のような累進課税方式ではなく、所得に関わらず課税される比例課税方式を採用しています。ただし、法人には法人住民税や地方法人税、法人事業税が課税されるため、所得に対して現在の実行税率である29.74%分が課税されると考えておかなければなりません。
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不動産投資で節税できる仕組み
ここではどのような仕組みで節税できるかを解説していきます。
所得税と住民税の節税
不動産投資では、不動産所得の赤字を給与等と損益通算することで、所得税と住民税の節税ができます。
所得税も住民税も所得が大きいほど税率が高くなり、納税額が増えます。給与所得と不動産所得の赤字を合算し、課税所得を圧縮できるために節税となるのです。また赤字は、減価償却費の計上によって、手元のキャッシュフローはプラスで、会計上は赤字という状態を作ることもできます。つまり、毎月不動産投資によって、お金はプラスになっているものの、会計上は赤字とできるのです。
売却時の価格によっては、そのときに税金が発生しますが、逆にいうと売却時まで納税を先延ばしにする効果があります。節税できたキャッシュを元手に投資するなどして、さらに効率的に資産を貯めることも可能です。
相続税や贈与税を節税する
現金ではなく、不動産として相続や贈与をすることで、それぞれ相続税や贈与税を減らせます。これは現金と不動産の評価方法の違いによって生じるものです。例えば、現金1億円を相続・贈与すると、当たり前ですが、1億円として評価されます。しかし、1億円で不動産を購入して贈与した場合、路線価など、別の評価基準によって、算出されるため、相続税評価額としては1億円以下になります。
不動産の場合は5~7割まで圧縮されるといわれており、現金のときと比べて、相続税額は数百万円以上の単位で変わってくるでしょう。また不動産投資のように第3者に貸し出しをしているときは、さらに評価額が低くなります。そのため、現金ではなく不動産と保有しておくことで、仮に同じ価値であっても、効果的な節税ができます。
法人化することで節税できる
不動産投資の法人化とは、不動産の持ち主を個人から法人に切り替えることです。規模によっては、法人化して不動産投資を行うと、税率の違いによって個人で運用したときよりも税金を少なくできます。今までは個人収入として、受け取っていた家賃は法人の収入となり、オーナーへは給料という形で還元されます。
個人の所得税では下の表からも分かるとおり最大45%となっていますが、法人では、資本金や所得にも左右されるものの20~30%台です。そのため、ある程度の規模になったら、法人化によって節税ができます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
また個人では赤字の繰り越し可能期間が3年なのに対し、法人では10年なので、過去の赤字との相殺で節税をすることも可能です。
不動産投資の節税メリットが得られる人
不動産投資の節税は誰にでもおすすめというわけではなく、効果的な人とそうでない人がいます。
所得税・住民税の節税が向いているのは、課税所得が一定額を超える人です。また、相続税の大幅な削減にもつながるため、効果的な節税が可能です。
ここでは、不動産投資の節税が効果的な人の特徴を解説していきます。
不動産投資で節税すべきなのは課税所得が900万を超える人
不動産投資で所得税・住民税を節税する場合、所得が一定額以上でないとあまり目に見えた効果は得られません。繰り返しにはなりますが、課税額が高いほど適用される税率が上がる仕組みだからです。課税所得が900万円を超えると所得税・住民税率は約43%となり、譲渡税率との差が大きくなるため、節税効果が高くなります。
そもそも節税効果は毎年の所得税を減らす効果と、売却時に実際の税金を減らす効果の2種類に分けられます。
減価償却期間中に節約できた税金は、結局は物件を売却する際に譲渡税という形で支払わなければなりません。そのため、減価償却期間中の所得税・住民税率と売却時の譲渡税率がほぼ変わらない場合は、納税を先送りできる効果にすぎないといわれます。
売却時の譲渡税率は物件を保有していた期間によって異なり、以下のように定められています。
短期譲渡:物件取得から5年以内に売却した場合。譲渡税率は39%
長期譲渡:物件取得から5年を超えて売却した場合:譲渡税率は20%
5年経過後に売却する場合でも20%の税金がかかるため、所得税・住民税の税率が譲渡税率を上回らなければ節税額としては同じになってしまいます。
課税所得が900万円以下の場合は所得税・住民税率と長期譲渡税率(20%)の差があまりなく、節税効果はあまり期待できません。節税面だけで考えると、ローンを組んでまで不動産投資をするメリットはあまりないといえるでしょう。課税所得900万円以下で取り組む場合は節税目的ではなく、あくまで不動産投資で利益を上げる目的で取り組むのがおすすめです。
年収1000万円の節税対策
年収1000万円の人の課税所得はおおよそ670万円なので、所得税・住民税率30%となります。不動産の長期譲渡税率20%と比べては高い税率になるので、不動産投資も節税対策として一定の効果はあるでしょう。しかし、莫大な節税効果があるわけではないので、不動産投資は事業として利益を上げることを目的とし、節税はあくまで副次的な効果と考えましょう。
もちろん、年収1000万円は高所得であり、税金が高額になるのも事実なので、新NISAやiDeCoなども併用して節税対策を行いましょう。
年収1200万円の節税対策
年収1200万円の人の課税所得は約865万円となります。年収1000万と同じく、所得税・住民税率30%となります。長期譲渡所得と比べて10%の税率の差はあるものの、莫大な節税効果があるわけではないため、節税目的ではなく、不動産の運用単体で利益を上げられるに考えておきましょう。
もちろん、年収1200万円はなかなか到達できない高所得者で、納税額も大きいので、新NISAやiDeCo、ふるさと納税、なども併用して節税対策を行いましょう。
年収1500万円の節税対策
年収1500万円の人の約1155万円となります。所得税・住民税率は43%となります。長期譲渡所得と23%の税率の差があるので、不動産所得との損益通算は大きく、節税効果が期待できるでしょう。ただし、ただの赤字物件を運用するのでは意味がないので、安定的に入居者がいる資産価値の高い物件で不動産投資を行いましょう。
あわせて新NISAやiDeCo、ふるさと納税、などの制度もフル活用するのがおすすめです。
年収2000万円の節税対策
年収1500万円の人の課税所得は約1575万円です。所得税・住民税率は43%となります。年収1500万円と同様、長期譲渡所得と23%の税率の差があるので、不動産所得との損益通算は大きな節税効果が期待できるでしょう。より効率的な資産運用にするためにも、節税目的のみならず、不動産の運用自体でも利益を得られる物件の選定に力を注ぎましょう。
不動産投資に加えて、新NISAやiDeCo、ふるさと納税、などの制度も利用するとより効果的な節税になります。
相続税対策が必要な人
相続税対策をしたい人にとっても不動産投資はおすすめです。先述の通り、相続時の評価額において、不動産は市場価格と比べて圧縮でき、物件の種類などの条件によっては最大5割程度まで減る場合もあります。現金が1億円と市場価値1億円の不動産を保有している場合では、資産価値としては同程度だとしても、課税される対象としての評価額は異なります。下の表にある通り、5000万円超から1億円以下の税率は30%なので、仮に不動産が6割の相続税評価額とすると、現金1億円が相続財産の場合と比べて、納税額は大幅に削減できるでしょう。
相続税の速算表 | ||
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
ただし、節税のために資産価値の低い物件を購入してしまうと、値下がりでトータルでマイナスになってしまうため注意が必要です。
不動産投資による節税効果をシミュレーション
所得税・住民税の不動産投資による節税効果は年収により異なります。ここでは具体的な例も交えて解説していくので、家族構成などによっても多少異なるもののどれくらいの節税額になるのかを把握して、実際に不動産投資をやる際の参考にしてみてください。
所得税・住民税の場合
所得税は年間の所得に対して課税されます。給与収入の場合、所得額は年収から給与所得控除を差し引き、さらに社会保険料などの控除を引いて求めます。不動産投資の赤字によって具体的にどの程度の節税額になるのか、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション①
・年収:600万円
・給与所得控除:164万円
・基礎控除:48万円
・社会保険料控除等:50万円
【不動産投資をしない場合】
課税所得は「年収600万円−給与所得控除等262万円=338万円」となります。
338万円の所得税率は20%で、42万7,500円の控除があります。
338万円×20%=67万6,000円
67万6,000円−42万7,500円=24万8,500円
所得税は24万8,500円です。
住民税の税率は10%であり、課税所得に乗じて均等割の5,000円を加算します。
住民税は338万円×10%+5,000円=34万3,000円です。
【不動産投資をして80万円の赤字となった場合】
課税所得338万円−80万円=258万円
258万円×20%=51万6,000円
51万6,000円−42万7,500円=8万8,500円
所得税は8万8,500円です。
不動産投資により、24万8,500円−8万8,500円=16万円の節税ができたことになります。
住民税は258万円×10%+5,000円=26万3,000円となり、34万3,000円−26万3,000円で8万円の節税です。
シミュレーション②
次に、以下の条件でシミュレーションしてみます。
・年収:1,200万円
・給与所得控除:195万円
・基礎控除:48万円
・社会保険料控除等:80万円
(不動産投資をしない場合)
課税所得は「年収1200万円−給与所得控除等323万円=877万円」となります。
877万円の所得税率は23%で、63万6,000円の控除があります。
877万円×23%=201万7100円
201万7100円−63万6,000円=138万1,100円
所得税は138万1,100円です。
また、住民税は877万円×10%+5,000円=88万2,000円となります。
(不動産投資をして80万円の赤字となった場合)
課税所得877万円−80万円=797万円
797万円×23%=183万3,100円
183万3,100円−63万6,000円=119万7,100円
所得税は119万7,100円です。
不動産投資により、138万1,100円−119万7,100円=18万4,000円の節税ができたことになります。
住民税は797万円×10%+5,000円=80万2,000円となり、88万2,000円−80万2,000円で8万円の節税です。
相続税の場合
相続税の場合は、不動産の購入により現金で相続する場合と比べて税額を節約できます。現金を相続した場合と、不動産投資の物件を相続した場合を比較してみましょう。
相続税の計算は以下の通りです。
相続税=(遺産額-基礎控除額)×相続税率-控除額
基礎控除は、「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人数」の計算式で求めます。
(1億円の現金を1人で相続する場合)
・1億円の相続税率:30%
・控除額:700万円
1億円−(基礎控除額3,600万円)×30%-700万円=1,220万円
現金を相続する場合、相続税は1,220万円となります。
(1億円の土地・建物を1人で相続する場合)
1億円のうち、土地の価格は7,000万円、建物の価格は3,000万円と仮定します。建物の固定資産税評価額は、建物の建築費の60%が目安です。
そのため、建物の価格は3,000万円×60%=1,800万円で計算します。
8,800万円−(基礎控除額3,600万円)×30%-700万円=860万円
不動産投資をして不動産を相続する場合、1,220万円−860万円=360万円の節税になります。
節税目的で不動産投資をした人の失敗例
節税目的だけで不動産投資をしても、残念ながら失敗する可能性が高いでしょう。なぜなら節税目的だからといって、適当に物件を選んでしまうと、需要がなく、入居者が入らない物件を購入してしまい、純粋な赤字を垂れ流すだけになるからです。収入がない状態での赤字は、節税額以上に資産を減らすことになってしまいます。
ここでは、節税目的で不動産投資をした人の失敗例を紹介するので、実践するときの参考にしてみてください。
新築区分マンションを複数購入した
Hさんは不動産投資で節税できると聞き、将来の資産形成もかねて新築区分マンションを複数購入しました。節税について不動産会社の営業マンに相談したところ、毎月の管理費などを経費計上することで節税できるという説明を受け、勧められるままに新築マンションを購入したという経緯があります。
新築マンションのため入居者もすぐに見つかり、賃貸経営は順調に進みました。しかし、数年経過しても高い節税効果は感じられません。これは、節税効果の大きい減価償却費が多く計上されていないからでした。新築の場合は耐用年数が長いので1年の減価償却費を大きくとれないのです。
数年経過したマンションは新築というメリットも薄れ、空室になる期間も多くなり、節税効果が低いということに気づいたHさんは、マンションを売却して減価償却費を多くとれる中古物件に買い換えようと考えました。
しかし、売却価格が購入価格よりも大幅に下がることが分かり、売却しても借金だけが残る状況になるため、手放せない状況になってしまいました。
節税のために経費を使いすぎた
年収が高いために高額の税金が気になっていたYさんは、不動産投資で節税できたという同僚の話を聞き、一棟マンションを購入しました。節税のためには経費の額が大きい方がいいと考え、経費と称してつい無駄使いしてしまうことが多くなります。
また、いくら支出しても経費にできるという安心感もありました。確かに経費が多くなれば税金は減りますが、手元のキャッシュフローも減少します。
その結果、資産は目減りし、節税効果を加味しても、不動産投資を行う前よりも実質的に収入が減ってしまうことになりました。
不動産投資はあくまで家賃収入で利益を上げる投資です。節税は副次的な成果に過ぎません。節税を主な目的にすると、本来の目的である資産増を達成できなくなるでしょう。
海外転勤になって損益通算できなくなった
不動産投資は給与所得と損益通算し、所得税・住民税を節税できます。その効果を得られるのは、あくまで日本で働いていることが前提です。海外で得ている収入を損益通算できません。
Sさんは年収が1200万円になり、高額な税金に悩んでいました。あるときインターネットで投資のサイトを見つけ、不動産投資が節税になることを知ります。特に築年数の古い木造物件は節税効果が高いと知り、中古の木造アパートを一棟購入しました。
数年間は順調に賃貸経営を続け、高い節税効果を得られました。しかし、3年後に海外転勤が決まり、損益通算による節税効果が得られないことになってしまったのです。
古いアパートは空室も多く、管理費や修繕費を考えると収益性もないため、結局売却せざるを得ない状況になってしまいました。
購入時の入居状況で購入を判断してしまった
Gさんは不動産投資に興味があり、良い物件があれば投資したいと考えていました。空室のリスクを気にかけ、できれば入居者がいる状態で購入したいと思っていたところ、満室の状態にある物件を見つけたのです。
家賃収入が確実に手に入ると考えて購入を決め、しばらくは満室状態が続いて収入は安定していました。しかし、1年ほど経つと入居者が少しずつ退去し、駅から遠いこという立地条件だったため、次の入居者がなかなか現れません。入居者が見つかるのに数ヶ月かかり、それでも満室には戻らず家賃収入が大きく減ってしまいました。購入時に入居者が多いという点だけで判断し、立地条件などをよく確認しなかったために起きてしまった失敗例です。
入居者がいる状態でもその状態が続くとは限りません。継続して入居者のニーズがあるかを確認することが失敗しないためには重要です。
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まとめ
不動産投資は所得税・住民税や相続税などの節税ができ、特に課税所得900万円以上の人は譲渡所得税率との差が大きいので効果が高いです。不動産所得の赤字を確定申告にて損益通算すると、給与所得などの課税所得を減らせるために納税額を減らせる仕組みです。
ただし、不動産投資にはリスクがあり、投資単体で利益を上げるという姿勢で取り組まないと赤字が大きくなり、節税額以上の損失を被ってしまいます。
節税効果を考えると、物件の種類や築年数などから減価償却の計上が可能な期間をしっかり計算して物件を選ぶことも大切です。
「税金が高いので不動産投資で節税を考えている」という方は、J.P.RETURNSに相談してみてはいかがでしょうか。相談は無料で、優秀なコンサルタントによる個別相談を行っています。特に高年収の人は節税額も大きくなるので、資産形成と節税の両面で効果的です。不動産投資の入門向けから専門的な内容までレクチャーも行っています。
これから不動産投資を始める方が学べるスマホ書籍や、動画で学ぶ投資セミナーも無料で公開していますので、ぜひご活用ください。